バイオメカニクスはひとことで言うならば、生体の構造と機能を主に力学的観点から理解することを目的としており、様々な現象結果を実験により立証する科学であり学問です。よしんばポダイアトリックそのものに興味を抱かない人であっても、このバイオメカニクスという理論は柔整師として今後もあり続けるならば 一度は真剣に学んでみるべき項目であります。
地球が誕生し幾星霜・・・、単なる1霊長類に過ぎなかった「ヒト」が、「ヒト」と成りえた所以は、従来の脊椎動物には無かった 二本足での歩行を日常化させたことが最大の原因だとされています。いうなれば「2本の足」を使い歩くことこそが人間としての存在証明です。逆に言うなら 2本の足で正常な歩行が出来なくなったヒトというのは決して「健康」と呼べません。 クツの誕生の大元は、人間が活動をする際に足を保護し、作業の効率を向上させる目的でした。しかし次第にクツそのものが「産業」へと発展をし、本来のオーダーメイドからパターン生産によるレディメイド化が進み、同時に機能優先からファッション化傾向、ブランド化傾向が顕著になっていきました。クツの選びというのは本当にむつかしいもので、現在 幾多の素材による様々なるスタイル、用途別のシューズが市場には用意されていますが、むつかしいのは、履き手にとって気持ちよく履けると思っていたシューズがジツはその人の健康を考える上で問題があるシューズであったり、とてもシックで洗練されたフォルムを持つ とっておきの一足が、その人の持つ 足の特徴と機能特性からいうなら決して履いてはいけない形状のシューズであったりもするのです。現代の落とし穴とも呼べますが、進化してきた筈のクツという文明の利器が それが原因となり その人の健康状態および足の機能を阻害していることが大いにあるのです。それでは 日本の場合、西欧に比べてクツを装着する時間が短い、また 人によってはまだケタや草履で暮らしているから 西欧に比べれば クツで身体事情がおかしくなっている人は希少な筈だ・・・と思われるかもしれませんが、これがまた そう簡単にはいえないのです・・・。
それは住んでいる国が違い、生活習慣・文化が異なっていようとも、基本的な「ヒトとしての一日の活動量および生活パターン」はどの民族どの国家でも大差がないからです。これは人間も自然の一部に過ぎず、それぞれ個性的に見えても 大局的な見方では 皆それほどの違いは無いのだ という論理に帰結するようです。つまり、いくら西欧に比較してクツを履いている時間が少ないと思われる日本人であろうと、平均の労働(活動)時間も、その労働内容も、内部における労働環境も、労働能力も、極端にいうなら ドコの国の人間であろうと大差はない ということです。そうしますと、西欧のヒトが いわば患っているクツが引き金と思われる困った諸症状とは 日本人のとってもけっして対岸の火事ではなく、ジツは徐々に静かに現在進行形で 続々と数を増やしているのが隠しようも無い現実なのです。しかし、今現在 「医療」の範疇ではこうした現象結果に対して的確なる対処および療法は、あるにしてもそれはまったく《点》です。つまり 個々の治療者等が会得した「個人芸」の世界であり、カテゴリーとして理論も立証も確立されていません、そこには「バイオメカニクス」が持つ 生体機能構造を力学の観点から科学する方向性に立ち至らなかったのが最大の原因といえましょう。21世紀を迎えた今の時代に柔整師もたしかに生き残っていくとするのであれば、こうした1つの足の疾患や諸症状の対処をする場合に必要となるのは、確実な技量と共に 「自分の行なう処置の正しさを立証する」ことです。そのためには自分の中に聖域を設けて己を縛り付けるのではなく、他のジャンル他のエリアの 秀でた知識・技能を貪欲に吸収する気概 バイタリティーこそが今必要だと思うのです。その柔整師版《和魂洋才》の一環として 今回 このPFC をば開講することになったのであります。
今回 JBで要請講座を開くにあたり ご協力を願う「スーパーフィート社」さんの同意を得まして、 スーパーフィート をリンクいたします。まず最初の入門編としての知識習得にはここから更にリンク先などをたどりますと非常に勉強になります。
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